伝統建築に見る緑化の維持管理
いままでの業務を通して学んだ経験から造園設計を提案します。
1 緑化の変還とあり方
(1) 建築の意図に合う植生管理
宮のお茶室は4軒あります。松琴亭、賞花亭、笑意軒、月波楼でそれぞれ意匠が違い、春、夏、秋、冬と
季節を意図として茶会が催されました。しかしながら、創建時から現在に至る360年間に大きな植生変化が起き、
江戸後期に書かれた古図を見ますとアカマツが沢山描かれていましたが、まつ食い虫が猛威を振るったせいも
ありますが、現在の植生の中核は落葉樹高木(ムク、エノキ)や常緑広葉樹(アラカシ、ツバキ)に移りました。
このように、植生が代わり好みを意図した時代に張るの茶室賞花亭などに描かれているヤマブキは姿なくなり、
現在では自然感覚を重視して季節感も庭園構成面でエリア的表現に移って来ました。
賞花亭エリアも深山幽玄の意匠、趣に合う里山的植物スギ、ヒノキ、モチツツジ、アセビ、サカキを
賞花亭へ続く山道中心とした植生で表現しています。